19世紀中期頃、イギリス製と推測されるカメオです。
共に描かれた鳩の姿から、柔らかな表情を浮かべる女性は
ギリシャ神話の女神・アプロディーテーと考えられます。

愛と美を司り、時に奔放な振る舞いも受け入れられる程の
美貌を誇るアプロディーテー。
髪を飾る花はアプロディーテーの聖花、薔薇でしょうか。
笑みを湛えているかのように薄らと開かれた口元や
明度を抑えたブラウンを背にくっきりと彫り出された
白く艶やかな肌が、その魅力を大変よく表しています。

フレームは15金、カメオを引き立てるシンプルな
デザインです。
ぐるりと一筋巡らせた縄状の飾りは、幅1ミリにも満たない
ものの、実際に金線を縒り作られています。

大きく広げた鳩の羽根一枚一枚までも細やかに描写する
カメオの彫りだけでなく、丁寧なフレームのつくりからも、
上質な作品であることが分かります。

裏側に "15ct" の刻印。

シェル裏側の縁に欠けがありますが、作品の美観や
強度に影響を与えるものではないと考えます。

年代　　1800年代中期
国　　　イギリス
素材　　シェル 15金（刻印あり）
サイズ　約4.2cm×3.5cm

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