卵にナイフを差し入れる様を表現した、なんとも大胆で
遊び心のあるペンダントヘッドは、帝政ロシア末期、
稀代のジュエラーとしてその名を知られたファベルジェの
作品です。
エッグモチーフのサイズは約1.7cm×1.3cm、地金は
アンティークのロシアンジュエリーに多く用いられた
14金です。
卵の中は空洞ですが、手のひらに乗せると、ゴールドの
心地の良い重みが伝わります。
モチーフ片面の中央には、サファイアとシードパールが
あしらわれています。
つるんとしたカボションカットのサファイアは、暗色の中
角度によって透き通ったブルーが覗き、パールのホワイトと
合わせ大変上品な印象です。
卵とナイフの美しい造形、殻に入ったリアルなひび割れ、
そして見落としてしまいそうな、ナイフの柄の裏側にまで
飾られた小さなパール等、細部にわたりファベルジェらしい
デザインの秀逸さが光ります。
1880年代、当時の宝飾界においてファベルジェを
唯一無二の存在へと押し上げたのは、家族への贈り物として
ロシア皇帝からの依頼を受け制作した、インペリアル
イースターエッグでした。
エッグモチーフのペンダントヘッドも、エナメルや宝石に
彩られた数々のバリエーション豊かな作品が発表されています。
ロシア正教で重要視されていただけでなく、もしかしたら
卵型は、ファベルジェにとって自身を象徴するモチーフで
あり、また創作の原点であったのかもしれません。
チェーンを通すカンの部分にロシアの14金を示す "56" 、
Carl Faberge を表した "КФ" のサイン有り。
チェーンは付属していません。
年代 1900年頃
国 ロシア
素材 ブルーサファイア パール 14金(刻印あり)
サイズ 約2cm×2.3cm
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