ローズカットダイヤモンドのペンダントヘッドです。
19世紀半ば頃の作と推測されます。
縦に並ぶ三石のダイヤモンドから、直径7ミリほどのメインストーンが
下がり揺れるデザイン。
ローズカットは三角形のカット面が複数集まって構成されており、
こちらの大きな石には二十四の面が確認できます。
ローズカットが登場したのは電灯以前の時代のことですので、現代とは
大きく異なる灯りや明るさを前提として、いかにダイヤモンドを
美しく見せるかが考えられています。
この肉眼でも十分に分かる大きく広いカット面が光を受けて、きらり、
きらりと強く輝く様子を見ていると、当時の松明や蝋燭がゆらめく
ほの暗い環境の中、どれ程に印象深くきらめいていたかが容易に
想像できるようです。
地金にはシルバーを使用、王冠を思わせる装飾性のある爪で
留めています。加えてもう一段、透かし模様の台座を合わせるという
凝った作りです。
ダイヤモンドと色の相性が良い銀を用い、土台部分を石よりも
一回り大きく設定してトップ全体の存在感を増幅させながらも、
透かしの軽やかさが奏功し、揺れが生み出す石の輝きの表情にけして
干渉しすぎることはありません。
絶妙なバランスで計算された美しさであることが、とてもよく分かります。
対照的にチェーンを通す部分にあしらわれた三石は、シルバーで
しっかりと全体を覆うように留められています。
小さなダイヤモンドのきらめきを最大限に生かし、またメインへと繋がる
ドラマティックな一筋のラインを描き出すというデザイン的な演出も
兼ねているのでしょう。
表側はシルバー、裏側にはゴールドを合わせるという、ジョージアン〜
ヴィクトリアンのジュエリーに多く見られる一手間も加えられています。
年代 1800年代中期頃
国 ヨーロッパ
素材 ダイヤモンド シルバー ゴールド
サイズ 約2.5cm×0.9cm
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