19世紀半ば頃、イタリア製と推測されるマイクロモザイクです。
後の時代のゴールドフープを合わせ、リングに仕立ててあります。
17世紀頃から、主にヨーロッパを中心に富裕層による文化的、
芸術的な見聞を広める目的での旅行が行われるようになりました。
マイクロモザイクは、グランドツアーと呼ばれるその旅の記念品や
お土産として人気があったものの一つで、テッセラという極小の
モザイク片を土台に埋め込み製作されます。
その一つ一つは手作業で、最終的に表面を磨き上げ完成に至るまでに
膨大な手間と時間が費やされています。
もちろん、高い技術力を要するのも言うまでもありません。
ブラックオニキスの中央に、ぽっと明るく、光が灯るかのように
浮かび上がる可憐な花々。
バラ、パンジー、そしてヒナゲシでしょうか、色とりどりのお花が
僅か直径1.2センチほどの小さな背景に描かれています。
さらによくよく見ると、それらが極小の欠片から成るモザイクである
ことが分かり驚かされるのです。
乳白ピンク、薄紅、サーモンピンク、コーラルピンク、小豆色。
バラの花を表現するだけでも、少なくとも五色が用いられています。
その見事に描き出された陰影や立体感は、エナメルや水彩画とも
思えるほどです。
あまりにかかりすぎる労力や流行の影響もあってか、時代が下ると
これほどまでに繊細なモザイク作品を目にすることは難しくなります。
鑑賞に値するクオリティーと、また女性らしく着けやすい花柄という
ファッションコーディネートの面でもおすすめしたいリングです。
オニキス縁の極小のカケは、作品全体の完成度を損なわない程度と
考えます。
年代 1800年代中期頃
国 イタリア
素材 ローマンモザイク ゴールド
サイズ 12号
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