カゲロウをモチーフにしたブローチです。
1920年代頃製と推測します。
メインの材質は裏側の "STERLING SILVER" の刻印通り
シルバーを使用。
そしてもう一つの刻印、"GENUINE BUTTERFLY WING"=
"本物の蝶の翅" が素材として使われています。
1920年代、イギリスで蝶の翅を用いたジュエリーが
大変流行しました。
こちらの翅も特徴的な美しい青色が見えることから、
その類の多くのジュエリーと同様、おそらくモルフォ
チョウの翅が使われているのではないかと考えます。
セッティングは蝶の翅を上からドーム状のガラスで覆い、
枠の中に閉じ込めるという手法。
翅部分を正面から眺めると地金のシルバーと同化する
グレー色が強く、ブローチ本体を少しずつ傾けてみると、
角度によりブルーや、薄い縞模様が覗きます。
ふっくらとしたガラスが凸レンズのような役割をするので
見え方はさらに神秘的です。
シルバーの細工も凝っています。
前横方向に長く伸びるのは前肢でしょうか。細かく
筋模様を施した胴体から、丁寧に節を設け、緩やかな
カーブを描く尾毛へと続きます。
翅周りの繊細なギザギザ模様もほどよいアクセントです。
わずか一日の寿命といわれるカゲロウ。
そんな儚いカゲロウに、リアルな銀細工の体と、かつて
野山できらめいていたであろう蝶の翅が、永遠の生命を
与えたかのようにも思えます。
年代 1900年代初頭
国 イギリス(推定)
素材 シルバー バタフライウィング
サイズ 約4cm×5.2cm
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