19世紀製のペンダントヘッドです。
ブローチとしての着用も可能、おそらく1800年代半ば頃
までの作品と推測します。

ピンクカラーのストーンは天然のトパーズです。
「ピンク色のトパーズ」といえば通常「ピンクトパーズ」
だと考えますが、ピンクトパーズは当時人気、価格共に
大変高く入手が難しい宝石でした。
そのため色の薄いトパーズや他の天然石、時には
ペーストガラスといった様々な素材の裏側にピンク色の
フォイルを張り濃いピンク色を演出し、同石を模した
作品も多く見られます。

こちらのヘッドにセットした各石は裏側が金属で
覆われており、石のみの状態での判断も困難なことから、
専門機関による鑑別結果にも「ピンクトパーズ」であるか
どうかは示されていません。
そして裏側のフォイルにはピンクの着色が確認できます。

メインモチーフから三つのパーツが下がり揺れる
全体のデザインは、"Girandole（ジランドール）"
スタイルと呼んで差し支えないでしょう。
17世紀〜18世紀にかけ流行したイヤリングやブローチの
デザインで、後の時代にも見ることができます。

薄く軽やかな金細工は表面全体に艶消しの加工。
そこにグリーンゴールドの葉やつるんとした粒状の
金を飾ることで、色や質感の対比が際立ちます。
クラシカルなフォルム、華やかな細工と愛らしい
ピンクカラーストーンの相性も抜群です。

裏側にはガラス蓋で覆われた小さなケースが付いています。
ヘアなどの持ち主、あるいは贈り主に因む物を
ひそやかに収めていたのでしょうか。
想像を掻き立てるロマンティックな要素もまた、
作品の雰囲気にぴったりです。

年代　　1800年代前期〜中期
国　　　フランス（推定）
素材　　トパーズ ゴールド
サイズ　　約6cm×3.3cm

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