Christian Dior クリアラインストーン ベルト

ヴィンテージディオールのベルトです。
1970年代頃の作品と推測されます。

Yves Saint Laurent、Gianfranco Ferré、John Galliano、
ディオールブランドの歴代デザイナーには
ファッションに興味があれば誰もが知るほどの人物が
名を連ねています。
その中で、1961年から1989年の長きにわたり
アーティスティック・ディレクターを務めた Marc Bohan の
知名度は、一般的には少々低いかもしれません。

Yves Saint Laurent の後を引き継ぐ形でヘッドデザイナーに
就任した Marc Bohan。
前任者の独自性が強まりつつあったディオールブランドに、
Yves Saint Laurent 以前のデザイナー=創業者 Christian
Dior のスタイルを色濃く反映させた保守的なデザイナーと
して知られています。

Marc Bohan のデザインした数々のドレスに漂うエレガントで
クラシカルな雰囲気は、確かに創業者の時代を思い起こさせます。
主に1950年代に製作されていた、ディオールの定番ともいえる
ラインストーンジュエリーに大変似通ったセットが、
Marc Bohan 在任中の1970年代に作られているのも、このような
ブランド全体の流れに沿ったものとも考えられるでしょう。

輝くクリアラインストーンのみで形作られたこちらのベルトも
Marc Bohan 指揮下の時期に製作されています。
二本のラインがウエストをぐるりと周り、大粒のラウンド型
ストーン部分にフック。そこからさらにフリンジスタイルの
二本が下がり揺れるデザインです。
ラウンドストーンの直径は約2.5センチ、厚みのある美しい
カット。
マーキス型のストーンは表面の先端がきゅっと尖った変形カット、
中央に極細の筋が入っているようなユニークな見え方です。

Christian Dior は自身の作品に用いるラインストーンに
非常にこだわりを持っていました。
その思いの強さはスワロフスキー社と共同でストーン開発を
行うほどで、実際並居る有名メゾンの中でもディオールの
ラインストーンのクオリティーは際立っています。
ベルト全体に散りばめられたストーンの整ったカット、
透明度、重厚感。
そこにあるのは、ジュエリー史上長くダイヤモンドの代用品と
されてきた「クリアカラーのガラス」ではなく、
例えデザイナーが変われども確実に引き継がれる、他にはない
「クリスチャンディオールのラインストーン」だと
感じずにはいられません。

また Dior は、自身の作品においてドレスも、ジュエリーも、
そのすべてが彼のファッションを完成させる等しく重要な
要素だと捉えていました。
ブランドにとって重要なアイテム、総ラインストーンで仕上げ
ジュエリーと呼べる域に達したベルトは、まさに
コーディネートの主役級。
デザインにもコンセプトにも、かつての創業者の姿が透けて
見えるのです。

留め具裏に "Christian Dior" の刻印。

マーキス型ストーン一つの欠損がおそらく後年通常型にて
補われていますが、他パーツ数か所の小さなカケもあわせ、
作品全体の完成度には影響のないものと考えます。

年代  1970年代頃
サイズ 長さ約74.5cm

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型番 dj22005
販売価格
298,000円(税込)
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