19世紀中期頃のイタリア製と推測される、ラーヴァ
(溶岩)を素材としたカメオです。
小さな矢筒を携えた天使は、ローマ神話に登場する
キューピッドでしょうか。
丸々とした肉付きの良い、愛らしい姿が描かれています。
ストーンやシェルに比べ柔らかく彫りやすいラーヴァ。
その性質は立体的でダイナミックな表現を可能にし、
こちらの作品も、キューピッドの身体は背景部分に
接することなく、隙間に小指の先を差し入れることが
できる程、前面に浮き出しています。
高さにして約2cm以上にもなる驚異的な立体感は、
すでに浮き彫り(=カメオ)の域を超え、彫像と
呼ぶのが相応しいのかもしれません。
犬にちょこんと足を掛け、竪琴を手に振り返る
キューピッド。
くるくるとした巻き毛、僅かに開かれた唇、細やかな
羽等、描写も大変丁寧です。
ゴールドのフレームには同じく金の縒り線をぐるりと
一周あしらっています。
独特の色合いと渋味を持つラーヴァを引き立てる、
シンプルで上品なデザインです。
キューピッドの足親指に欠けが見られますが、
作品全体のクオリティーに影響はないものと考えます。
年代 1800年代中期
国 イタリア
素材 ラーヴァ ゴールド
サイズ 約6cm×5cm
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